日商簿記1級と聞いて皆さんはどんな印象を持っているでしょうか。
難しすぎる。範囲が広すぎて挫折した。難易度が高すぎて自分には無理だと諦めてしまった。
コスパが悪いからやめておけと言ったマイナスの意見が多く出回っています。
しかし、それほど恐れる必要はありません。
日商簿記1級はきちんと勉強していけば、学校に通わなくても合格できます。
この記事では、日商簿記1級の試験について解説するとともに、投げ出さないためにはどうすればいいのかを解説します。
チャイ
学生時代に日商簿記1級を取得済み。公認会計士試験の受験経験あり。日商簿記2級・1級の試験を最短で合格できる方法を知っている。
※資格を持った方に記事を作成していただいております。
Contents
日商簿記1級の合格率は10%以下?
日商簿記1級の試験制度として、相対試験が採用されていると言われます。
そのため、回ごとに合格率が変わりますが平均が10%程度で安定しており、運が悪ければ合格率が10%以下と言われることが多いです。
しかし、直近5回に至ってはすべて10%を上回っており、165回に至っては合格率が16.8%まで上がっており合格率が高くなる時もあります。
そのため、合格率10%以下という数字を過信しすぎてしまうのは危険です。
日商簿記1級の出題科目は?2級との決定的な違いも!
日商簿記1級と日商簿記2級では、出題科目が大きく異なります。
日商簿記1級は2級よりも出題科目が多いです。
1.総合問題形式で出題される商業簿記
2.個別問題形式で出題される会計学
3.原価計算が問われる工業簿記
4.管理会計に関する出題が多い原価計算
日商簿記1級 | 日商簿記2級 | |
試験範囲 | 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算 | 商業簿記・工業簿記 |
合格率 | 平均14.65%(2023年) | ネット試験:37.0% 統一試験:平均19.3%(2023年) |
試験制度 | 相対評価 | 絶対評価 |
特典 | ・大学の推薦入学に有利 ・税理士試験の受験資格が与えられる ・職業訓練指導員資格試験で、事務科の試験科目の一部免除 |
大学の推薦入学に有利 |
試験範囲
1級の試験範囲は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4つに対して、2級の範囲は商業簿記・工業簿記の2つしかないです。
さらに、それぞれの科目ごとの出題範囲の広さも異なり、1級は計算だけでなく理論も出題されるようになります。
そのため、1級は2級の2倍以上の範囲が追加されると考えて良いでしょう。
合格率
1級は相対試験のため基本的に合格率は10%程度で収まっています。
2級は絶対評価であり70点あれば合格ですが、統一試験やネット試験での合格率は大きく異なります。
統一試験の合格率は8.6%~45%とばらつきがあり難しい時と簡単な時の差が大きいです。
ネット試験の合格率は37%~46%であり、統一試験と比べると高い水準でばらつきも小さいです。
採点方式
試験自体は1科目25点満点の合計100点で、合格基準は100点中70%以上の得点です。
ただし、
1科目ごとの得点が40%(10点)
以上ないといけません。
また、日商簿記1級の特徴として傾斜配点があると言われています。これは、問題や解答箇所によって配点が違ったり、配点がなかったりする採点方式です。
誰も解けないような難問を用意しておきながらその問題には配点が無かったり、逆に誰でも解ける問題には高い配点が与えられていたりします。
この傾斜配点の特性を知っておけば、得点戦略に役立つのでぜひ覚えておいてください。
年間の試験回数
日商簿記1級は毎年6月と11月に開催されます。
試験日については商工会議所が出している検定試験カレンダーをご覧ください。
日商簿記2級とは違い年2回しかなく、ネット試験もありません。
試験制度
1級は公式には明言されていませんが、相対評価で合否が決まると考えて良いでしょう。
相対評価の試験とは、上位○%が合格という受験者数に対する割合で合否が決められる試験です。
上位〇%に入ることができれば実力不足であったとしても合格可能
2級は絶対評価であり、決められた点数を取ったかどうかで合否が決まる試験です。
そのため、試験問題が難しい時に合格率は下がり、試験問題が簡単な時には合格率は上がる特徴があります。
特典
1級を取得していることで、一橋大学を始めとする国公立大学や明治大学、関西大学などの私立大学の推薦入試で優遇されます。
税理士試験の税法に属する科目の受験資格を満たせます。
職業能力開発促進法の指導員資格試験の一部科目が免除されます。
この指導員とは、ハローワークで職業訓練の先生として活躍、在職されている方々への職業訓練の実施やキャリアアップ支援のための資格取得講習などを行うときに必要な国家資格です。
転職で有利に働き経理などの実務経験があれば年収が上がる可能性も大きくなります。
2級を取得していることで、大学の推薦入学に有利であることと転職に有利に働きます。
日商簿記1級を合格するための勉強時間は?
日商簿記1級に合格するためには500~1,000時間の勉強時間が必要だと言われています。
これほど幅があるのはもともとの知識量や経験が大きく関係するからです。
最低でも500時間かかるとして、1日2時間勉強に充てたとしても250日かかります。
また1級を勉強するには2級と3級レベルの知識が入っていないとできないので、簿記初学者が1級を目指すとなると最低でも600時間近くかかると思っていいでしょう。
日商簿記1級の独学は無謀?
独学は可能ではありますが、かなり厳しい道のりになります。
膨大な範囲の中から重要論点のピックアップ、より複雑になる連結問題、原価計算基準や会計の理論の重要箇所の絞り込み、企業結合事業分離など独学では難しい論点がたくさん出てきます。
時間がないときや、疲れているときにここまで考えて勉強を進めていくのは厳しいでしょう。
さらに、一緒に日商簿記1級を受けてくれる人がいなければモチベーションを保てず、挫折してしまい投げ出してしまうことだってあります。
日商簿記1級は相対評価で合否が決まると言われているため、多くの受験生が解ける問題は解けるようにしておかないと本番で致命傷を負ってしまいます。
独学は相対評価の試験では自動的に不利な立場になるだけでなく、勉強の内容や得点戦略、重要論点の絞り込み、モチベーションやスケジュール管理をすべて自分でやらないといけません。
勉強だけに時間を使える人ならいいと思いますが、多くの人はそうではないので独学はとにかくオススメしません。
日商簿記1級を効率よく理解し合格するためには?
では、日商簿記1級に効率よく合格するにはどうしたらいいのでしょうか。
答えは簡単で専門学校などで講座を受けるだけです。
専門学校の講座にはわかりやすい授業やテキスト問題集に模試までついてきます。
さらに、分からないことはいつでも聞くことができる講師と、一緒に勉強する仲間も手に入ります。
独学だと自分でやらないといけないことのほとんどを専門学校が担ってくれるので、自分は勉強のみに専念できます。
しかし、ほとんどの人はわざわざ学校に通う暇と時間なんてないはずです。
そこでオススメしたいのが通信講座です。
スマホやタブレットが1台あれば電車に乗っているときでもすぐに勉強が始められます。
さらに、重たい紙のテキストも持ち歩く必要がありません。
費用も専門学校と比べると10分の1以下で済みます。
テキストや問題集もすべてオンラインで見ることができるため、いつでもどこでも手軽に勉強ができます。
オンライン授業も倍速に対応していることが多く時間を効率的に使えます。
まとめ
日商簿記1級は難しいだけあり、合格を勝ち取ったときに将来の可能性が大きく広がります。
しかし、合格のためには膨大な勉強時間が必要になり、たくさんの楽しみを犠牲にしないと合格できません。
勉強を始めるのはいつからでも遅くありませんが、早ければ早いほど有利です。
合格したい方は早めに通信講座を利用して、日商簿記1級の合格を勝ち取りましょう!