数ある資格の中で、全業種で使えるものと言えば、日商簿記ではないでしょうか。
なぜなら、個人法人問わず売上が発生している以上は、そのやり取りを記録していかなければならないからです。
そこで重宝される資格が日商簿記3級です。
日商簿記3級は、日本にあるすべての3級の資格で、もっとも知名度があり使える資格だと自負しています。
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日商簿記って何?

簿記という資格は、いくつかの団体が主催しております。
全商・日商・全経の3つがメインとなり、会社で多くの基準とされているのが日商です。
全商
全商とは、全国商業高等学校協会のことを指し、名前の通り高校生を対象にした資格を提供しています。
みなさんも、もしかしたら高校生時代に簿記の資格を取った!なんて学生がまわりにいたかもしれません。
その場合は、全商簿記だと考えるべきですね。
全商簿記は、3級⇒2級⇒1級となっています。
全経
全経は、全国経理教育協会が主催している資格を提供している法人です。
基本的には社会人向けの資格となっています。
全経簿記は、基礎簿記会計⇒3級⇒2級⇒1級⇒上級というクラス分けをされています。
日商
日商は、日本商工会議所が主催する資格の名称です。
この日商簿記こそが、世の中の経理の基準として用いられています。
日商簿記は、3級⇒2級⇒1級となっています。
日商簿記3級の合格率は?ほかの資格よりも難しい!

日商簿記の合格率は、開催年によって全然変わってくることがやっかいです。
平均的には40%台をキープしていますが、時期によっては13%台だったこともあります。
資格の3級で合格率13%台は異常だとしか言いようがありませんよね・・・。
| 開催回 | 合格率 |
|---|---|
| 166(2024年2月25日) | – |
| 165 | 33.6% |
| 164 | 34.0% |
| 163 | 36.5% |
| 162 | 30.2% |
| 161 | 45.8% |
| 160(2022年2月27日) | 50.9% |
| 159(2021年11月21日) | 27.1% |
| 158(2021年6月13日) | 28.9% |
| 157(2021年2月28日)※最高合格率 | 67.2% |
| 156 | 47.4% |
| 155 | 中止 |
| 154 | 49.1% |
| 153 | 43.1% |
| 152 | 56.1% |
| 151 | 55.1% |
| 150 | 43.8% |
| 149 | 44.3% |
| 148 | 48.9% |
| 147 | 40.3% |
| 146 | 50.9% |
| 145 | 47.4% |
| 144 | 45.1% |
| 143 | 34.2% |
| 142 | 26.6% |
| 141 | 26.1% |
| 140(2015年6月14日) | 52.7% |
| 139(2015年2月22日) | 54.1% |
| 138 | 38.5% |
| 137 | 48.0% |
| 136 | 40.9% |
| 135 | 48.0% |
| 134 | 33.9% |
| 133 | 39.5% |
| 132 | 31.9% |
| 131 | 41.1% |
| 130 | 49.1% |
| 129 | 49.8% |
| 128 | 36.6% |
| 127 | 30.7% |
| 126 | 44.5% |
| 125(2010年6月13日) | 27.9% |
| 124(2010年2月28日) | 18.8% |
| 123(2009年11月15日) | 49.6% |
| 122 | 41.2% |
| 121(2009年2月22日) | 56.5% |
| 120 | 40.2% |
| 119 | 29.5% |
| 118 | 38.2% |
| 117 | 31.2% |
| 116 | 42.5% |
| 115 | 35.2% |
| 114 | 45.2% |
| 113 | 35.0% |
| 112 | 46.4% |
| 111 | 21.9% |
| 110(2005年6月12日) | 58.3% |
| 109 | 31.8% |
| 108 | 42.7% |
| 107(2004年6月13日)※最低合格率 | 13.7% |
| 106(2004年2月22日) | 49.5% |
| 105 | 40.9% |
| 104 | 30.0% |
| 103 | 27.8% |
| 102 | 32.5% |
| 101(2002年6月9日) | 54.0% |
直近で見ると第158回、159回の合格率は28%前後と、3級らしくないレベルとなりました。
さらにさかのぼりますと、2010年の124回は18.8%、2004年の107回は13.7%ととんでもない難易度となっています。
日商簿記3級の試験を20年くらいさかのぼっても、107回の13.7%より難しい回はいまのところありません。
おそらくですが、105回と106回の合格率がかなり高めだったので、ちょっと難しくしてみようって考えた結果、難しくなりすぎて難問試験と同じレベルになってしまった可能性があります。
合格率が13%台になると、それこそ社会保険労務士レベルの難易度ですから、3級と言ってもあなどれない理由がここにあります。
それ以降は問題の作者も反省したのか、124回を除いて難関資格並みの合格率にならないようになっています。
逆に言うと、直近では157回の合格率が67%台と、とんでもない簡単な試験になっていました。
日商簿記の試験は、他の試験とは違い問題が固定化されていません。
そのときの状況によって試験内容が変わるため、タイミングが悪ければ合格率が低くなります。
日商簿記3級の合格率が低くなる・高くなる理由

日商簿記3級の範囲はある程度決まっていますが、ごくまれに2級の範囲や、テキストに載っていない問題が出題されるケースがあります。
当然、学習したことがない範囲ですから普通に考えると解けませんよね・・・。
問題自体が斜め上になってしまうと、合格率が下がると言うわけですね。
これは日商簿記の独特な問題ですが、その回の合格率によって次回の回の合格率を調整するために難しくしたり易しくしたりしているようです。
その根拠に、どの回でもいいですが合格率が高かった次の回は、かなり難しくなっていますし、逆を見れば合格率が低かったら次回は高くなっていますよね。
毎回日商簿記3級の問題にひねりがなければ他の検定みたいに合格率は安定しますが、日商簿記だけは一筋縄ではいきません。
日商簿記3級でやってきたことを応用すれば解けるようにはなっているため、この計算はこうだ!という凝り固まった考えを捨てる必要があります。
日商簿記3級の勉強時間は?

いままで会計に携わってこなかった人であれば、日商簿記3級の勉強時間は100時間程度と考えるべきです。
1日3時間勉強したと仮定した場合、1カ月弱ですね。
なかには2週間の勉強で合格した人もいますし、逆に1年かかってようやく合格した人もいました。
まったくの簿記未経験者で、どちらかというと数学も国語も苦手でしたが、1日3時間の勉強を毎日しての結果ですから、合計勉強時間は90時間ってところでしょうか。
毎日授業とは別で数時間は勉強し、試験直前まで過去問をひたすら繰り返してなんとか合格できたという感じです。
ですから、体感的には100時間よりももう少しかかるのかな?というイメージです。
日商簿記3級は独学が難しいのはなぜ?

どんな資格でも、3級くらいなら独学でなんとかなるだろう!って思いますよね。
たしかに、資格全体で言えば3級は独学でもなんとかなります。
ただし、日商簿記3級は独学ではちょっと難しいのでは?と感じています。
・仕訳がわからない
・モチベーションが続かない
・暗記だけで何とかならない
まず、仕訳が難しいです。
消耗品費10,000円/現金10,000円
とかなら、現金が出ていって消耗品が入ってくる、というイメージは沸きますよね。
ですが、減価償却費などが入ってくると、すさまじく混乱します。
日商簿記3級は、よくありがちな丸暗記でどうにかなる代物ではありません。
日商簿記3級の難関!減価償却費
日商簿記3級の仕訳の中で、もっとも難しいのは減価償却費関連です。
例えば、100万円の自動車を購入した場合、その年にすべてを経費にすることはできません。
なぜなら、利益操作がいくらでもできてしまうからです。
また、銀行等の融資関連にも影響してきます。
減価償却費のことを書いてしまうと、とても長くなるためここでは割愛しますが、それさえクリアすれば日商簿記3級の合格はかなり見えてくると思ってもいいでしょう。
結局のところ日商簿記3級の独学は難しい!
もし、日商簿記3級を本気で取得したい場合は、専門学校にがっつり通うのも良いですが、時間もお金もかなりかかってしまいます。
でしたら、今は通信講座がたくさんありますし、安く教材が提供されていますので活用してみてはいかがでしょうか。
一応、専門学校と通信講座を比べますと、
| 専門学校 | 通信講座 | |
|---|---|---|
| 学ぶ期間 | 2年間 | 3カ月 |
| 費用 | 100万円前後 | 数千円前後 |
| 特徴 | 3級~2級+会計のほか資格の学習 | 簿記3級のみ |
もし、本気で会計をマスターしたい場合は専門学校を、日商簿記3級だけとりあえず習得したい場合は通信講座がおすすめですよ。
と言いますか、専門学校ですと2年間通わないといけないですし、120万円前後の学費がかかってきます。
ただ、学歴としては専門学校卒となるので、高卒の場合はひとつランクが上がりますよね。
まとめ
日商簿記3級は、世の中にある数多くの3級で最も難しい資格だと言えます。
ですが、全業種で使える会計の資格ですし、自分自身が経理職以外でも重宝されるものですから、積極的に取得しておくべではないでしょうか。
日商簿記3級は需要がありすぎますので、さまざまな学校で取り扱っています。
予算や学習スタイル、期間に合わせてベストな講座や学校を探してみてください。

