今まで会社勤めだった人がフリーランスとして独立した場合、仕事内容は様々だと思いますが、共通して立ち塞がる課題として「お金」の問題があります。
例えば50円で物を仕入れて100円で売った場合、単純に50円の利益となりますが、この50円は丸々手に入る訳ではありません。
利益に応じて税金が掛かり、仕入れの際に掛かった交通費や事務費などの経費、従業員を雇っているなら給料の計算などしっかり細かく計算しないと実際の利益は把握する事が出来ません。
フリーランスではこのようなお金の管理は全て自分で行う必要があり、正しい知識がないとまともに生活する事も困難となります。
これらの知識は「簿記」の知識があるかないかで大きく差が生まれます。今回はフリーランスは簿記のスキルが必要なのか、その具体的な理由と効率的な学習法について解説します。
Contents
フリーランスは簿記のスキルが必須?
冒頭でも伝えましたがフリーランスで活躍していく上で簿記のスキルは必須ですが、逆にスキルがなくても運用していく事は可能です。
しかしそれには多額の費用が必要となり、せっかくの利益を失う事になります。どのような事に費用が掛かるのでしょうか。
売上や経費などの流れが読めるから
例えば100万円売上があったといっても、経費などがどの程度掛かっているか把握していないと最終的な利益の計算は出来ません。闇雲にこれくらいの経費などと適当に計算していると必ず痛い目をみます。
簿記の知識があると売上の他に各経費や売掛金などの代金、取引先の倒産などの予期せぬトラブルに対応するための「貸倒引当金」の設定など細かく仕分けをしてそれぞれ台帳に記載していく事で全てのお金の流れを把握する事が出来ます。
更に「貸借対照表」などを理解出来れば取引先の経営状況なども把握できるので、自分1人で交渉などをしていく際の指標にもなります。
税理士事務所にすべて頼らなくても済むから
フリーランスに成りたての時は初めての「確定申告」や従業員を雇っている場合「年末調整」などやり方が分からず不安になると思います。そこで税理士に依頼して面倒な手続きを任せると一気に負担が減りますが、税理士に依頼すると多額の費用が掛かります。
書類の作成など間違えると最悪追徴課税などのリスクもあるので、慣れないうちは税理士に依頼する事になると思いますが、簿記の知識があれば大まかな流れを理解する事が出来るので、全ての作業を依頼しなくてもある程度は自分で資料の作成などが可能となります。
青色申告に対応できるようになるから
確定申告の種類は青色申告と白色申告ありますが、大きな違いとしては税制の優遇が大きく最終的な利益にも関わってきます。特に青色申告では最大65万円まで控除の対象となるので青色申告をするとしないとでは長い目でみると多額の費用削減につながります。
しかし、この青色申告は提出書類なども多く、10万円控除では損益計算書や青色申告決算書、65万円控除ではそれらに加えて貸借対照表の提出があり、保存帳簿も現金出納帳や仕分帳、固定資産台帳など保存が義務付けられています。
また、確定申告をする年度の3月15日までに「青色申告承認申請書」と「開業届」を税務署に提出する必要があるなど事前準備が必要で一つでも忘れると適切に申告が出来なくなります。
一方白色申告は必要書類も少なく申告手続きが非常に簡単です。こちらは主に副業をされている方などが利用する事が多いですが、
フリーランスは少しでも控除を受けられる青色申告が経費削減につながります!
この青色申告の知識なども簿記を理解しているとスムーズに対応可能となります。最終的にはこちらも税理士に依頼せずに書類の作成までする事ができます。
節税の知識が身につくから
青色申告の件と重なる部分が多いですが、どのように運用していけば賢く税金を節約できるか簿記を理解していると分かるようになります。
例えば国から「国庫補助金」などを支給されてそのお金で不動産などを購入すると年度末に減価償却などの計算をしますが、支給された全額算出するとその分余計に固定資産税を支払う事になり、せっかく支給されたのに必要以上に税金を支払う事になります。
ここで「固定資産圧縮損」という勘定科目で一時的に損失を計上して補助金などで税金が掛からないように記帳します。この一連の流れも簿記の知識があるかないかで大きく変わる部分なので、フリーランスとして活動する際は必須の知識と言えます。
フリーランスはどれくらい簿記のスキルが必要?
日商簿記は1級から3級までありますが、最低限3級まで取得して簿記の全体像や仕組みを理解するだけでも十分効果があります。
しかし、経営戦略や原価計算など自分で運営していく中で必要な知識は主に2級の範囲となります。いきなり2級は難易度が高いので順番に3級から取得を勧めていくのをオススメします。
日商簿記と間違えられやすい資格に「全商簿記」や「全経簿記」などもあり、前者は主に商業高校生が取得する資格で後者は主に専門学生が取得する資格になります。
こちらも取得することに意味がない訳ではありませんが、フリーランスの方の簿記の知識という面で考えた場合やはり「日商簿記」の知識が重要ですので、受験される時は名称の間違いに注意して下さい。
フリーランスでも簿記の資格を取得する効率のいい方法
簿記の資格を取得するのには様々な方法がありますが、
・独学で学習する
・通信講座を利用する
・専門学校に通う
・職業訓練校に通う
この中でも専門学校や職業訓練校に通う方法は、費用と時間が掛かりフリーランスを目指している方は少し現実的ではありません。
そこで今回は独学で学習する場合と通信講座で学習する2パターンについて解説していきます。
独学の自力で頑張る
試験勉強と言えばテキストなどを購入して独学で勉強をするイメージが強い方が多いかと思いますが、全くの未経験の状態から簿記の学習をするとなると聞きなれない専門用語が多く、思った以上に苦戦します。
また、学習していく中で必ず分からない事など出てくるかと思いますが、ただでさえ覚える事が多い簿記の試験で、分からない事を理解するのは非常に困難です。その都度ネットやテキストを利用しても完全に理解するまでに非常に時間が掛かります。
勉強する時間を十分に確保出来るのであれば独学でも問題ありませんが、大半の方は出来るだけ早く取得して少しでも早く楽になりたいですよね。
そこで、オススメしたいのが「通信講座」を利用して資格を取得する方法です。
通信講座で最短で取得する
通信講座は数多く種類がありますが、独学と比べて
・分からない事があれば講師に質問出来る
・試験合格に特化したカリキュラムで進むので無駄なく学習できる
・独学と比べて早い段階で合格できる
これらの特徴があります。
独学では分からない事があっても自分で調べるしか方法がありませんが、通信講座では専門の講師に分からない事をその都度質問出来ます。
また、通信講座は主に資格合格に特化した内容を厳選して提供しているので、試験に良く出る問題や次の試験に出てきそうな問題など限定して学習していくので、無駄な事を覚える心配がありません。
最後に独学ではいつ終わるか分からない学習も通信講座では〇〇月で合格などと明確に目標を立てて進めるので、期間が決まっているからこそモチベーションも保ちやすく早期合格を目指す事が可能となります。
まとめ
簿記の知識がなくてもフリーランスとして活動はできますが、税理士費用や事務員などを雇って給料などを支払ったりするとどうしても利益は減ります。
自分で稼いだお金を上手く運用していくのにはやはり簿記の知識が必要最低限であり、何よりも率先して取得を目指して欲しいです。
いきなり簿記の勉強するのは中々苦しく感じる事もあるかもしれませんが、簿記の知識は生きていくうえで必ず役に立つ知識なので、仮にフリーランスを辞めて再就職する事になっても簿記の資格を持っているだけで有利に働く事もあるので、是非取得目指して頑張って下さい。